大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)810 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人補助参加人の負担とする。

理 由

上告人補助参加人代理人中村喜一の上告理由第一点について。

本件において、被参加人たる上告人の敗訴の判決が確定すれば、補助参加人は、

上告人が被上告人に対し本件家屋収去土地明渡の義務を負担することを争えないこ

ととなることは民訴七〇条の規定により明らかである。しかし、この場合それが補

助参加人に不利益であるとしても、それは、本件被上告人と上告人間の賃貸借契約

の合意解除の効力が補助参加人に対抗力を有するか否かの問題として論議されるべ

きものであつて、右合意解除自体の有効無効の問題とは別の事柄といわなければな

らない。原判決が右と同趣旨において補助参加人の所論主張は、補助参加人自身の

ための主張であり、被参加人たる上告人のための適法な主張ということはできない

旨を判示したことは正当であり、補助参加人は、被参加人に属する攻撃防禦方法の

みを主張し得べきものであつて、所論のように本訴に関連ある事項は広くこれを主

張し得るということはできない。所論は独自の見解を主張するものであつて、採る

を得ない。

同第二点、第四点について。

原判決の確定したところによれば、昭和二九年一一月一八日に本件土地賃貸借契

約が合意解除され、原判示のような特別の約定がなされたというのであり、右のよ

うな事実関係の下においては、上告人において右合意解除の意思表示に際し本件建

物買取請求権を放棄する意思も表示したと認めるのが相当であるとした原判決の認

定は、挙示の証拠により是認できないわけではない。所論は原判決の適法にした右

認定を非難し、または原判決の認定に副わない事実を前提として原判決の違法をい

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うものであつて、採るを得ない。

同第三点について。

賃貸借契約の当事者が、契約関係を消滅させる趣旨の合意解除をすることは、た

とえ客観的に賃借人に不利益な場合であつても、借地法一一条の適用はなく、他に

これを無効ならしめる特段の事由のない限り、右の合意は有効に成立するものとい

わなければならない。そして原審の確定した事実関係の下においては、昭和二九年

一一月一八日の本件土地賃貸借契約の合意解除が有効になされたものであるとした

原判示はこれを是認することができる。原判決には所論の違法はない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九四条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 朔 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官下飯坂潤夫は退官につき署名押印することができない。

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

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